5巻第30話 中絶の家
第三十話 中絶の家
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(ここが▽町か―初めてきたな―)
X華がバスを降りた場所は今まで来ることがなかった町だった。
▽町は私の住んでいる町から電車で3ッ目の駅で降り、そこからバスで30分山に登ったところにある。
田んぼと山に囲まれ民家が点在するだけの寂しい町だった―
(普通の田舎町だな)
「マジで助かる――あとは歩いて5分くらいだからさ―」
そう言ってX華に愛想よく話してくるのはX華と高校の同級生だった浦本晴美(17歳)。
と言っても高校一年生の1学期に退学し、X華の印象には残っていない子だった。
今はフリーターをしているらしい。
なぜそんな友達でも何でもない子とX華は一緒にバスに乗り、こんな田舎町に降り立ったのか。
▽町には人工中絶しか扱っていない産婦人科医院があった。
―1997年当時(X華が産婦人科でバイトをしていた時代)中絶費用は相手の同意書付きで約8万から15万
それに対しその病院は同意書なし妊娠の9週目までなら3万円、それ以降でも4万円しかかからないのでお金に困った女性が訪れているといううわさがあった。
晴美ちゃんはここに4回目の中絶をしにやってきたのだった。
X華がこの子とこの町にくるきっかけは一週間前のことだった。
X華がバイトするクリニックに晴美が診察に訪れたところから始まる。
(晴美ちゃんだ・・でも何でこの病院に?家からずいぶん離れていたと思うけど・・・)
「ちょっと中洗うね、少し冷たいですよー」
そして取り出されたものを先生から渡されたX華はそれを見て不思議に思う。
(何で砂がこんないっぱい・・・)
「中に少し砂が入っていたから全部とりました。これで痛くならないはずです」
「ずっとお腹痛かったから助かったー」
「それで尿検査の方ですが、陽性反応が出たので妊娠してます」
「えー?困るー」
夏のイベントで妊娠する10代は多い。
(多分海でナンパされて盛り上がって連絡とれなくなったパターンかな?)
そしてほとんどが中絶の道を選ぶ。
心配し、あれこれ考えるX華。
そんなX華がバイトを終えてクリニックを出たところに声をかけてきたのが晴美だった。
▽町の産婦人科医院に行くのについてきてほしいと言ってきた。
そうしてX華は▽町にやってきて、その病院についていくことになったのだった。
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